賃貸の部屋を借りるとき、多くの人は入居するときの費用に目を向けます。ですが、2年後の更新や、いつか退去するときの決まりも、契約書の中ですでに決まっています。後になって「更新料がかかるとは思わなかった」「解約の連絡が遅れて家賃が1か月分多くかかった」と困る人は少なくありません。この記事では、賃貸の更新と解約予告について、契約の期間、更新のときにかかる費用、更新の手続き、解約予告の期限と連絡の方法を説明します。
契約前に契約書のどこを見ればよいかも紹介します。
前提:普通借家契約は2年が多い
賃貸の部屋の契約は、大きく「普通借家契約」と「定期借家契約」に分かれます。多くの物件は普通借家契約で、期間は2年が一般的です。普通借家契約は、期間が終わっても借主が住み続けたい場合、基本的に更新できる契約です。借地借家法では、貸主が更新を断るには正当な理由が必要とされています(借地借家法28条)。そのため、家賃をきちんと払っていれば、住み続けられるのが通常です。
一方の定期借家契約は、期間が終わると契約が終わる契約です(借地借家法38条)。再契約できる物件もありますが、貸主が合意しなければ住み続けられません。募集資料に「定期借家」と書かれている物件は、期間と再契約の条件を必ず確認しましょう。
更新のときにかかる費用
更新のときにかかる費用には、次のようなものがあります。
- 更新料:貸主に払う費用。家賃の1か月分ほどの物件がある
- 更新事務手数料:管理会社や不動産会社に払う手続きの費用
- 保証会社の更新保証料:保証会社に払う費用。1年ごとの場合もある
- 火災保険の更新:2年ごとに保険料を払い直すことが多い
更新料は全国一律の決まりではなく、地域の慣習によって差があります。首都圏や京都では更新料のある物件が多い一方、愛知県では更新料がない物件も多いと言われます。ただし、更新料がなくても、更新事務手数料や保証会社・火災保険の更新の費用はかかることがあります。更新料について最高裁判所は、2011年7月15日の判決で、契約書に明確に書かれ、高すぎない金額であれば有効との判断を示しています。
更新の手続きの流れ
更新の時期が近づくと、管理会社から案内が届くのが一般的です。流れはおおむね次のとおりです。
- 契約が終わる1〜3か月前に、更新の案内と書類が届く
- 更新の書類に署名して返送する
- 更新料や更新事務手数料、火災保険料などを払う
- 新しい契約期間が始まる
案内に気づかず手続きをしないまま期間が過ぎた場合でも、普通借家契約なら、多くは同じ条件で契約が続いたものとして扱われます(法定更新、借地借家法26条)。ただし、法定更新になった場合の更新料の扱いは契約書の書き方によって違うため、届いた案内はきちんと確認しましょう。
更新のときに家賃は変わるか
更新の案内と一緒に、家賃の値上げを伝えられることがあります。家賃は、周りの家賃の相場や税金、土地や建物の価格が変わって、今の家賃が釣り合わなくなった場合に、貸主から増額を求めることができると定められています(借地借家法32条)。反対に、借主から減額を求めることもできます。ただし、増額を伝えられても、借主がすぐに受け入れなければならないわけではありません。一般的には、貸主と借主が話し合って決めます。
話し合いがまとまらない場合は、借主がそれまでの家賃を払い続けて住み続けられるのが原則で、最終的には調停などで決めることになります。値上げの通知を受けたら、理由と金額の根拠を聞き、周りの似た物件の家賃と比べてから判断しましょう。
解約予告は「1か月前まで」が多い
退去するときは、契約書で決められた期限までに解約の連絡をします。これを解約予告といいます。期限は「退去する日の1か月前まで」が多く、物件によっては2か月前と決まっていることもあります。法人契約では2〜3か月前とされる場合もあります。解約予告が遅れると、そのぶん家賃を払う期間が延びます。たとえば1か月前予告の物件で、退去の3週間前に連絡した場合、連絡した日から1か月後までの家賃がかかるのが一般的です。
引っ越し先が決まったら、できるだけ早く連絡しましょう。
最後の月の家賃は日割りか月割りか
退去する月の家賃の計算方法も、契約書で確認しておきたい点です。
- 日割り:退去する日までの日数分の家賃を払う
- 半月割り:月の前半か後半かで半月分を払う
- 月割り:月の途中で退去しても1か月分を払う
月割りの物件で月の初めに退去すると、ほとんど住まない期間の家賃まで払うことになります。退去の日を決めるときは、解約予告の期限と、最後の月の家賃の計算方法を合わせて考えると、余計な支払いを減らせます。
解約の連絡の方法
解約の連絡の方法も、物件によって決まっています。電話だけでは受け付けず、書面やウェブのフォームでの届け出を求める管理会社も多くあります。
- 連絡先:貸主か、管理会社か
- 方法:書面、ウェブのフォーム、電話のどれか
- 期限の数え方:書類が届いた日か、送った日か
- 退去の立会いの日の決め方
電話で伝えただけで手続きが済んだと思っていたら、書面が届いていなかったという行き違いもあります。連絡したら、受け付けた日を記録に残しておきましょう。退去の日の流れや立会いについては、次の記事で詳しく説明しています。
契約前に契約書で見る場所
更新と解約の決まりは、契約書の「契約期間」「更新」「解約」の条文と、特約の欄に書かれています。次の点は、契約の前に確認しておきましょう。
- 契約の種類(普通借家か定期借家か)と期間
- 更新料と更新事務手数料の有無と金額
- 解約予告の期限(1か月前か2か月前か)
- 最後の月の家賃が日割りか月割りか
- 短い期間で解約した場合の違約金の有無
- 退去時のクリーニング費用などの特約
退去のときにかかる費用の考え方は、次の記事も参考にしてください。
よくある質問
更新しないで住み続けることはできますか
普通借家契約なら、更新の手続きをしなくても、多くは法定更新として同じ条件で住み続けられます。ただし更新料の支払いを求められる場合があるため、契約書を確認してください。
解約予告の期限を過ぎてしまったらどうなりますか
一般的には、連絡した日から決められた予告期間が過ぎるまでの家賃を払うことになります。退去の日を早めても、家賃の負担は変わらないことが多いです。
更新の書類を返送し忘れたらどうなりますか
普通借家契約なら、すぐに住めなくなることは通常ありません。ただ、管理会社から催促が来たり、更新料や火災保険の手続きが遅れたりすることがあります。特に火災保険は、更新しないと補償が切れてしまうため、案内が届いたら早めに手続きしましょう。
更新の前に解約すると費用はかかりますか
更新の前に退去すること自体で特別な費用がかかることは通常ありません。ただし、短い期間での解約に違約金を定めている物件もあるため、特約を確認しましょう。
まとめ
- 賃貸の多くは2年の普通借家契約で、更新して住み続けられる
- 更新のときは更新料や手数料、保証会社・火災保険の更新の費用がかかることがある
- 解約予告は1か月前までが多く、2か月前の物件もある
- 最後の月の家賃が日割りか月割りかで、退去の日の選び方が変わる
- 契約前に、更新・解約・特約の条文を確認しておく
長く住むつもりの人は、更新のときの費用まで含めて物件を比べてみてください。
※この記事は一般的な情報をまとめたものです。更新や解約の条件は物件・貸主・契約内容によって異なります。実際の内容は契約書と管理会社の説明でご確認ください。


