入居審査に通ったという連絡が来ると、ほっとすると同時に「次は何を用意すればいいのか」と迷う方が多いと思います。仲介会社から書類の一覧を渡されても、住民票はどこで取るのか、印鑑は実印でなければいけないのか、親に頼む書類はいつまでに必要なのかなど、細かい疑問が次々に出てきます。賃貸の契約に必要な書類は、物件や保証会社によって少しずつ違いますが、求められるものの種類と流れはおおむね共通しています。

この記事では、申し込み時と契約時の書類の違い、本人と連帯保証人が用意するもの、契約当日の流れ、書類のせいで入居日が遅れないための準備を順に説明します。

前提:申し込み時と契約時では求められる書類が違う

賃貸の手続きは、大きく「申し込み・審査」と「契約」の二段階に分かれます。申し込みの段階では、本人確認書類や収入を示す書類の写しを出して審査を受けます。審査に通ると契約の段階に進み、ここで住民票や印鑑証明書などの原本、契約書への署名・押印、初期費用の入金が求められます。申し込み時の書類と審査の進み方については、別の記事で詳しくまとめています。この記事では、審査に通ったあとの「契約の段階」で必要になるものを中心に扱います。

賃貸の入居審査に落ちる理由と、通すためにできること

なお、契約の前には、宅地建物取引業法35条にもとづき、宅地建物取引士が物件や契約条件の重要な事項を説明する「重要事項説明」が行われます。契約書と重要事項説明書は、どちらも契約内容を確かめるための大事な書類です。

契約時に本人が用意する主な書類

契約の段階で、借りる本人に求められることが多い書類は次のとおりです。すべてが必ず必要になるわけではなく、物件や保証会社によって求められるものは変わります。最終的には、仲介会社から渡される案内で確認してください。

  • 住民票:発行から3か月以内などの期限が指定されることが多い。同居する人がいる場合は全員分が載ったものを求められることもある
  • 本人確認書類の写し:運転免許証、マイナンバーカード(表面のみ)、パスポートなど
  • 収入を示す書類:源泉徴収票、課税証明書、確定申告書の控え、給与明細など。申し込み時に出していれば不要なこともある
  • 印鑑:認印でよい場合が多いが、契約によっては実印と印鑑証明書を求められる
  • 家賃の引き落とし口座の情報:通帳やキャッシュカード、届出印
  • 学生の場合:学生証の写しや合格通知書、在学証明書

住民票を取るときに気をつけたいのが、マイナンバー(個人番号)の記載です。賃貸の契約では個人番号の載った住民票は求められないのが一般的なので、窓口や申請書では「個人番号の記載なし」を選んでおくと安心です。本籍の記載が必要かどうかも、事前に仲介会社に確かめておきましょう。住民票や印鑑証明書は、住んでいる市区町村の窓口のほか、マイナンバーカードがあればコンビニのマルチコピー機で取れる自治体もあります。

名古屋市にお住まいの方は、区役所や支所の窓口で取得できます。平日に役所へ行く時間が取りにくい方は、コンビニ交付が使えるかを先に調べておくと手間が省けます。

連帯保証人が用意する書類

保証会社の利用が必須の物件でも、連帯保証人を別に求められることがあります。連帯保証人を立てる場合は、その方にも書類の準備をお願いすることになります。遠方に住む親に頼む場合は、郵送の往復で日数がかかるため、早めに相談しておきましょう。

  • 連帯保証人の印鑑証明書:実印の登録がない場合は、先に市区町村で印鑑登録をしてもらう必要がある
  • 収入を示す書類:源泉徴収票や課税証明書など
  • 本人確認書類の写し
  • 保証意思の確認:保証人の方に、管理会社や保証会社から電話で確認が入ることがある

2020年4月に施行された改正民法では、個人が連帯保証人になる賃貸借契約について、保証する上限額(極度額)を契約書に定めることが必要になりました(民法465条の2)。極度額の定めがない個人の根保証契約は効力を生じません。連帯保証人を頼む方には、契約書に書かれた極度額を一緒に確認してもらうとよいでしょう。保証会社の費用や、連帯保証人との関係については、こちらの記事で詳しく説明しています。

保証会社の費用はどこで確認する?

審査通過から鍵の受け取りまでの流れ

審査に通ってから入居するまでは、おおむね次の順で進みます。物件によって順番が前後することはありますが、全体の流れを知っておくと、いつまでに何をすればよいかが分かりやすくなります。

  • 審査通過の連絡を受け、契約日と入居日(家賃の発生日)を決める
  • 仲介会社から初期費用の明細と、必要書類の一覧を受け取る
  • 書類をそろえ、初期費用を指定の口座に振り込む
  • 重要事項説明を受け、契約書に署名・押印する
  • 火災保険の申し込みや、家賃引き落とし口座の手続きを済ませる
  • 入居日以降に鍵を受け取る

初期費用の振込期限は、契約日の数日前などに設定されることが多く、思ったより短いと感じる方もいます。明細を受け取ったら、金額と振込期限をすぐに確認し、手元の資金で足りるかを見ておきましょう。初期費用の内訳と目安は、次の記事にまとめています。

一人暮らしの初期費用、名古屋ではいくら?

契約時に加入を求められることが多い火災保険については、補償内容や選び方を別の記事で解説しています。指定の保険以外を選べるかどうかも、契約前に確認しておきたい点です。

賃貸の火災保険の相場は?補償内容と選び方

重要事項説明と電子契約で確認したいこと

重要事項説明は、契約書に署名する前に契約の中身を確かめられる最後の機会です。説明はかなりの分量があり、聞き流してしまいがちですが、次の項目は特に注意して聞いておくと、入居後のトラブルを防ぎやすくなります。

  • 契約期間と更新の条件、更新料の有無
  • 解約するときの予告期間と、短期で解約したときの違約金の有無
  • 退去時の費用負担や、特約で定められている項目
  • ペット・楽器・同居人など、使い方についての制限
  • 家賃の支払い方法と支払日

宅地建物取引業法の改正により、2022年5月からは、重要事項説明書や契約書を紙ではなく電子データで交付することが認められるようになりました。オンラインでの重要事項説明(IT重説)とあわせて、来店せずに契約まで進められる場合もあります。電子契約を利用するときは、スマートフォンやパソコンで書類を開ける環境と、データを保存しておく場所を用意しておきましょう。紙でも電子でも、契約書は入居中から退去時まで何度も見返す書類です。

更新や解約の条件は、あとから確認したくなることが多い項目なので、受け取った書類はなくさないよう保管してください。更新と解約の考え方は、こちらの記事が参考になります。

賃貸の更新と解約、契約前に見ておきたい項目

書類で契約が遅れないための準備

契約が遅れる原因として多いのは、書類の不備や取り寄せの遅れです。入居日が決まっている方ほど、次の準備をしておくと安心です。

  • 部屋探しを始めた段階で、住民票と収入を示す書類を取れる状態にしておく
  • 連帯保証人を頼む可能性がある場合は、早めに相手へ伝え、印鑑登録の有無を聞いておく
  • 書類の有効期限(発行から何か月以内か)を確認してから取得する。早く取りすぎると期限切れになることがある
  • 引越しで住所が変わる予定がある場合、どちらの住所の住民票が必要かを仲介会社に確かめる
  • 振込に使う口座の残高と、振込の上限額を確認しておく

特に、引越し前後の住民票の扱いは迷いやすいところです。契約時点では現住所の住民票を出すのが一般的ですが、物件によっては入居後に新住所の住民票の提出を求められることもあります。分からないときは、自己判断せずに仲介会社へ確認しましょう。まだ物件を探している段階の方は、エリアや駅から候補を絞り込むところから始めてみてください。

エリア・駅から賃貸物件を探す

よくある質問

賃貸の契約に実印は必要ですか

借りる本人については、認印でよいとされる場合が多いです。ただし、連帯保証人には実印と印鑑証明書を求められることがよくあります。シャチハタなどのインク浸透印は認められないことが多いので、朱肉を使う印鑑を用意しておくと安心です。電子契約の場合は押印の代わりに電子署名で手続きします。

住民票は何か月以内のものが必要ですか

発行から3か月以内とされることが多いですが、物件や保証会社によって異なります。取得する前に、仲介会社から渡される必要書類の案内で期限を確認してください。早めに取りすぎて期限が切れると取り直しになるため、契約日が決まってから取得するのが確実です。

契約書類は郵送でもやり取りできますか

郵送での契約に対応している管理会社は多く、遠方から引越す方は郵送や電子契約で手続きを進めることもできます。ただし、郵送は往復に日数がかかるため、入居日から逆算して余裕を持って進める必要があります。対応できるかどうかは物件ごとに違うので、申し込みの段階で確認しておきましょう。

書類がそろわないと契約できませんか

必要書類がそろうまで契約を進められないのが一般的です。書類の取り寄せに時間がかかりそうな場合は、早めに仲介会社へ伝えてください。後日提出で先に契約を進められるかどうかは、貸主や管理会社の判断になります。

まとめ

  • 申し込み時は書類の写しで審査、契約時は住民票などの原本と署名・押印が求められる
  • 本人は住民票・本人確認書類・印鑑・引き落とし口座、連帯保証人は印鑑証明書と収入を示す書類が中心
  • 個人の連帯保証人には、契約書で極度額を定めることが民法で必要とされている
  • 重要事項説明では更新・解約・退去費用・使用制限を特に注意して聞く
  • 書類の有効期限と取り寄せの日数を見込んで、入居日から逆算して準備する

※本記事は一般的な情報をまとめたものです。必要な書類や手続きの流れは、物件・管理会社・保証会社によって異なります。最終的な内容は、仲介会社から案内される書類と契約書でご確認ください。