気に入った部屋が見つかって申し込んだあと、入居審査という段階があります。ここで通らなければ、その部屋は借りられません。審査に落ちた理由は基本的に教えてもらえないため、「なぜ通らなかったのか分からない」という不安を抱えたまま次を探すことになりがちです。この記事では、入居審査で実際に何を見られているのか、どんなときに落ちやすいのか、そして通りやすくするために申込の前後でできることを順番に整理します。

審査の基準は貸主と保証会社によって違うため、ここに書くのはあくまで一般的な考え方と実務でよくある対応です。個別の可否は物件ごとに確認が必要になります。

入居審査で見られている5つのこと

審査は貸主(またはその管理会社)と、家賃保証会社の2か所で行われるのが今の主流です。見られている中身は大きく分けて次の5つです。

  • 家賃に対して収入が足りているか
  • 勤務先と勤続年数(収入が続く見込みがあるか)
  • 過去に家賃を滞納していないか
  • 保証会社の審査(信用情報を見る会社もある)
  • 連絡がつくか、やりとりが成り立つか

意外に思われるかもしれませんが、5つ目が理由で止まることが実際にあります。申込書に書かれた電話番号につながらない、確認の連絡に何日も返事がない、という状態では、貸主は「入居後に連絡が取れなくなるのでは」と考えます。審査は書類だけの手続きではなく、やりとりの様子も含めて判断されていると考えてください。

収入の目安は「家賃が月収の3分の1以内」

最も分かりやすい基準が収入です。一般的な目安として、毎月の家賃が手取りではなく月収の3分の1以内であれば無理がないとされ、多くの審査でこのあたりが線になります。年収から見るなら、家賃の36倍が目安です。たとえば家賃6万円の部屋なら、月収18万円、年収216万円程度が目安になります。管理費を含めた支払額で見る会社もあるため、家賃6万円+管理費6千円なら月収19万8千円程度と考えておくと安全です。

この目安を少し超えていても、貯蓄があること、勤続年数が長いこと、連帯保証人を付けられることなどで通ることは珍しくありません。逆に目安を満たしていても、勤め始めたばかりで収入の実績がない場合は慎重に見られます。数字だけで機械的に決まるわけではありません。

落ちやすいケースと、それぞれの対策

実務でよく相談を受けるのは次のような状況です。どれも「借りられない」ということではなく、伝え方と準備で結果が変わります。

転職した直後・勤め始めたばかり

勤続年数が短いと、収入の継続性が見えないため慎重に扱われます。対策は、内定通知書や雇用契約書を用意して、これから得られる収入を示すことです。前職の在籍期間が長ければ、そこも伝えると印象が変わります。入社日が近いなら、入居時期を入社後にずらせるかも検討します。

自営業・フリーランス

確定申告書の控えを直近2年分用意できるかが分かれ目になります。1年目で申告実績がない場合は、預貯金の残高を示す方法や、連帯保証人を付ける方法が現実的です。売上の波が大きい業種では、年間の平均で見てもらえるよう資料を整えます。

無職・求職中

収入がない状態では通常の審査は厳しくなります。ただし、貯蓄が十分にある場合に預貯金残高で審査してもらう方法(いわゆる預貯金審査)や、収入のある親族を契約者にして本人が入居者になる方法があります。家賃を前払いする条件で認められる例もあります。

学生

本人に収入がないのが前提なので、親などを契約者または連帯保証人にする形が一般的です。学生向けの物件では最初からその想定になっているため、むしろ通りやすいことも多いです。

年金収入のみ・高齢の方

収入額よりも、緊急時の連絡先を確保できるかが重視されます。近くに住む親族の連絡先を出せるか、保証会社の高齢者向けプランが使えるかで結果が変わります。見守りサービスの利用を条件に認められる物件もあります。

過去に家賃を滞納したことがある

同じ保証会社に記録が残っていると、そこでは通りにくくなります。この場合は保証会社を変えるのが有効です。物件によって使える保証会社が決まっているため、別の物件を検討したほうが早いこともあります。

保証会社の種類で審査の中身が変わる

ここは知られていないのに影響が大きい部分です。家賃保証会社は大きく3つのタイプに分けられます。

  • 信販系:クレジットカード会社などが運営。信用情報機関の記録を照会する
  • 協会系:保証会社同士で家賃の滞納情報を共有している
  • 独立系:自社の基準で判断し、信用情報を照会しないことが多い

つまり、クレジットカードの支払いや携帯端末の分割払いを延滞した記録がある場合、信販系の保証会社では引っかかることがあります。一方で独立系なら、その記録を見ないため通ることがあります。過去に家賃の滞納があるなら協会系で引っかかり、カードの延滞があるなら信販系で引っかかる、という整理です。物件ごとに指定の保証会社が決まっていることが多いのですが、複数から選べる物件もあります。

心配な点があるなら、申し込む前に「この物件はどのタイプの保証会社か」を確認しておくと、無駄な申し込みを避けられます。仲介会社に聞けば分かることですので、遠慮なく尋ねてください。使える保証会社は物件ごとに決まっています。条件を指定して候補を広げておくと、合う組み合わせを見つけやすくなります。

条件を指定して賃貸物件を探す

申込書で損をしないための書き方

審査に出す前の段階で結果を悪くしてしまう例があります。ちょっとした注意で防げるものばかりです。空欄を残さないこと。勤務先の電話番号、緊急連絡先、入居者全員の氏名など、書きにくい欄をそのままにすると確認に時間がかかり、その間に他の申込者が決まることがあります。分からない欄は空けずに、その場で担当者に聞いてください。収入は正確に書くこと。多めに書いても、書類との不一致が出た時点で信用を落とします。少なめに書く必要もありません。

賞与を含めるかどうかで迷ったら、含めた額と基本給を両方伝えておけば適切に判断されます。緊急連絡先には、事前に話をしておくこと。保証会社から本人確認の電話が入ることがあり、「聞いていない」と言われるとそこで止まります。親や兄弟に頼むなら、連絡が来るかもしれないと伝えておいてください。入居者と契約者を正しく書くこと。同居する人を書かずに契約すると、後から発覚した場合に契約違反になります。

将来同居する予定があるなら、その時点で伝えておくほうが確実です。

落ちてしまったあとに取れる手

審査に通らなかった場合、理由は基本的に開示されません。貸主にも保証会社にも説明義務はなく、「今回はお見送りです」という連絡だけで終わります。そこで止まらずに、次の手を考えます。まず、保証会社を変えられるか確認します。同じ物件でも別の保証会社で再申し込みができる場合があります。ただし短期間に何度も申し込むと記録に残るため、変える理由が明確なときに限ります。次に、連帯保証人を付けられるか相談します。

保証会社の審査に通らなくても、収入のある連帯保証人を立てることで認められる物件があります。逆に、保証会社の利用が必須で連帯保証人では代われない物件もあります。それでも難しい場合は、条件そのものを見直します。家賃を1万円下げるだけで収入の目安に収まることがあります。初期費用を多めに払う、家賃を数か月分前払いする、といった提案で通ることもあります。

貸主が個人か法人か、管理会社が入っているかによって柔軟さが変わるので、仲介会社に事情を伝えて相談するのが近道です。エリアを少し広げるだけで、募集条件も保証会社も変わります。区や駅から見直してみてください。

エリア・駅から賃貸物件を探す

審査はどんな順番で進むのか

流れを知っておくと、どこで止まっているのかが分かり、余計な不安がなくなります。おおまかには次の順で進みます。

  • 入居申込書と必要書類を仲介会社へ提出する
  • 保証会社が審査する(本人と緊急連絡先へ確認の電話が入ることがある)
  • 保証会社の結果を受けて、貸主または管理会社が最終判断する
  • 承認されたら契約日を決め、初期費用の入金と書類の取り交わしに進む

止まりやすいのは2番目です。本人や緊急連絡先に電話がつながらないと、そこで先に進みません。申し込んだ日から数日は、見慣れない番号からの着信にも出られるようにしておいてください。留守番電話にメッセージが残っていることもあるので、確認する習慣をつけておくと安心です。3番目の貸主の判断では、収入や勤務先のほかに、入居人数や使い方が想定と合っているかを見られます。

単身用の部屋に二人で住む、事務所として使う、楽器を演奏する、ペットを飼うといった予定があるなら、隠さずに最初から伝えてください。あとで発覚すると契約解除の理由になり得ます。先に言えば、それを認めてくれる別の物件を探すこともできます。

審査を早く終わらせるための準備

審査は最短で翌日、長いと1週間程度かかります。人気の物件は先に申し込んだ人から順に審査されるため、書類がそろっているかどうかが実際の結果を左右します。申し込みの前に、本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカード)、収入を示す書類(源泉徴収票、給与明細2〜3か月分、確定申告書の控え)、連帯保証人を付ける場合はその方の同じ書類を、スマートフォンで撮影しておいてください。その場で送れる状態にしておくだけで、審査開始が半日から1日早まります。

内見から申し込みまでの間に、勤務先の正式名称と電話番号、勤続年数、緊急連絡先の氏名・続柄・電話番号をメモしておくと、申込書を迷わず埋められます。

審査の結果が1週間たっても来ないときは

審査の結果は、通常は2〜3日で分かることが多いものの、勤務先への在籍確認がとれない、連帯保証人の確認に時間がかかる、書類に不足がある、といった場合は1週間以上かかることもあります。連絡が来ないからといって、落ちたとは限りません。

  • まず、仲介した不動産会社に、審査の進み具合を確認する
  • 在籍確認の電話に出られていない場合は、勤務先の担当者に事前に伝えておく
  • 連帯保証人や緊急連絡先への確認が済んでいるか、本人から連絡しておく
  • 書類の不足や記入漏れがないかを、不動産会社に確認する

審査が長引いている間は、他の物件への申し込みは控えるのが無難です。複数の申し込みが重なると、断りの連絡が必要になり、お互いに手間がかかります。結果が出るまでの目安は、申し込みのときに不動産会社へ聞いておきましょう。

賃貸契約に必要な書類は?

審査に落ちた理由は教えてもらえるのか

審査の結果が出たあと、具体的な理由が伝えられないことは珍しくありません。保証会社や貸主は、審査の基準を公表しておらず、個人の信用情報に関わる内容でもあるため、細かな理由は教えてもらえないのが一般的です。それでも、不動産会社を通じて「収入面が理由だった」「書類の不備だった」といった大まかな傾向を教えてもらえる場合があります。次の申し込みに活かすため、聞いてみる価値はあります。

落ちたあと、次に何をすればよいか

  • 保証会社を変えられる物件か、不動産会社に確認する
  • 連帯保証人を立てられるなら、保証人付きで再申し込みする
  • 家賃を少し下げた物件や、初期費用が抑えられる物件に絞る
  • 勤務先や収入を証明する書類を、できるだけ多く揃える

同じ物件に同じ条件で再申し込みしても、結果は変わりにくいのが実情です。条件を変えて申し込むか、別の物件を探すほうが、近道になります。

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よくいただく質問

ご相談の中で繰り返し聞かれることをまとめます。

審査に落ちたら、払ったお金は返ってきますか

契約が成立していない段階で預けた申込金や預り金は、原則として返還されます。審査に通らなかった場合も同じです。ただし「返さない」と書かれた書類にサインしてしまうと争いになることがあるため、預けるときは名目と、契約に至らなかった場合の取り扱いを書面で確認してください。契約が成立したあとのキャンセルは扱いが変わります。

親の名義で借りて、自分が住むことはできますか

できる場合があります。契約者を収入のある親、入居者を本人とする形です。貸主の承諾が前提なので、申し込みの段階でその形にしたいと伝えてください。後から入居者を変えるのは契約違反になります。

同じ物件に2回目の申し込みはできますか

条件を変えずに出し直しても結果は変わりにくいです。保証会社を変える、連帯保証人を付ける、といった中身の変化があるときに限って意味があります。短期間に何度も申し込むのは避けたほうがよいです。

審査中に他の物件も同時に申し込んでいいですか

複数同時の申し込みは、通ったあとに断ることになるためおすすめしません。仲介会社との信頼関係にも影響します。順番を決めて、第一希望から進めてください。

どれくらいで結果が出ますか

早ければ翌日、通常は2〜3日、連帯保証人の確認が必要な場合や連絡がつきにくい場合は1週間ほどかかります。急ぎの事情があるなら、申し込みのときに入居希望日を伝えておくと優先して進めてもらえることがあります。

1週間以上連絡がないのは、落ちたということですか

そうとは限りません。在籍確認や連帯保証人の確認、書類の不足などで、結果が出るまでに時間がかかることがあります。まず、仲介した不動産会社に、審査の進み具合を確認してください。

審査に落ちた履歴は、他の物件にも影響しますか

保証会社が異なれば、基準も異なります。ただし、同じ保証会社の審査には、前回の結果が影響する可能性があります。次の物件では、保証会社の種類を確認してから申し込んでください。

まとめ

入居審査で見られるのは、家賃に対する収入、勤務先と勤続年数、過去の滞納、保証会社の審査、そして連絡が取れるかどうかです。収入の目安は家賃が月収の3分の1以内、年収なら家賃の36倍あたりが一つの線になります。転職直後や自営業、無職、年金収入のみといった状況でも、示す資料と組み立て方で結果は変わります。過去にカードの延滞があるなら信販系以外の保証会社、家賃の滞納があるなら協会系以外、という選び方も有効です。

落ちたときは、保証会社の変更、連帯保証人、条件の見直しの順で手を探します。名古屋市内でお部屋をお探しの方で、審査に不安がある場合は、申し込む前にご相談ください。事情をお聞きしたうえで、通る見込みのある物件と保証会社の組み合わせをご提案します。無駄な申し込みを重ねないことが、結果的に一番早い方法です。単身で探している方は、1Kから見ていくと候補を絞りやすくなります。

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※本記事は一般的な審査の考え方をまとめたものです。審査の基準は貸主・管理会社・保証会社によって異なり、記載の目安どおりに判断されるとは限りません。必要書類や審査の可否、申込金の取り扱いは物件と契約内容によって変わりますので、最終的な内容は物件ごとにご確認ください。