賃貸の初期費用の見積書を見ていると、「仲介手数料」の欄に賃料の1か月分前後の金額が入っているのに気づきます。敷金や礼金、保証会社の費用と並んで、まとまった金額になりやすい項目です。一方で、不動産会社のサイトには「仲介手数料無料」「半額」といった表示もあり、どれが普通なのか迷う方も多いと思います。仲介手数料には、法律で決められた上限があります。
この記事では、上限がどのように決まっているのか、賃料の0.5か月分と1か月分の違いは何か、無料や半額の物件がなぜ成り立つのかを順に説明します。あわせて、見積書で確認したい点や、契約前に聞いておきたい質問もまとめます。
前提:仲介手数料は成約したときに払う報酬
仲介手数料は、不動産会社が物件の紹介や内見の案内、契約手続きの調整といった仲介の仕事をしたことへの報酬です。部屋探しの相談や内見をしただけでは発生せず、契約が成立したときに支払うのが基本です。気になる物件を何件見ても、契約に至らなければ費用はかかりません。
報酬の上限は、宅地建物取引業法46条にもとづき、国土交通大臣が定めています(昭和45年建設省告示第1552号「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」)。不動産会社は、この告示で定められた額を超える報酬を受け取ることができません。上限を超える請求は、法律に反することになります。
居住用の賃貸の上限は「賃料の1か月分+消費税」
居住用の建物を借りるときの仲介手数料は、貸主と借主の双方から受け取れる報酬の合計が、賃料の1か月分に消費税を加えた額までとされています。ここでいう消費税は現在10%で、賃料が60,000円なら、上限は60,000円に消費税6,000円を加えた66,000円になります。
- 賃料が50,000円の場合:上限は55,000円(税込)
- 賃料が60,000円の場合:上限は66,000円(税込)
- 賃料が80,000円の場合:上限は88,000円(税込)
上の金額は、あくまで計算のための例です。実際の物件の金額ではありません。また、賃料に管理費や共益費を含めるかどうかは、契約内容や不動産会社の取り扱いによって異なることがあります。見積書の計算の根拠は、遠慮せずに確認してよい項目です。
0.5か月分と1か月分の違い
「賃料の1か月分が上限」と聞く一方で、見積書に0.5か月分と書かれていることがあります。これは、告示の考え方によるものです。居住用の賃貸では、依頼者の一方(借主か貸主のどちらか)から受け取れる報酬は、原則として賃料の0.5か月分に消費税を加えた額までとされています。ただし、依頼を受けるにあたって、依頼者から承諾を得ている場合は、その依頼者から賃料の1か月分に消費税を加えた額まで受け取ることができます。
借主が1か月分を負担する見積書は、この承諾にもとづいていることが多く、実務では、申し込みの際に承諾の確認が行われることが一般的です。
- 貸主と借主の合計は、賃料の1か月分+消費税が上限
- 借主から受け取れるのは、原則として賃料の0.5か月分+消費税まで
- 借主が承諾している場合は、借主から1か月分+消費税まで受け取れる
- 実際に何か月分を請求するかは、不動産会社ごとに決めている
つまり、1か月分を請求されること自体は違法ではありません。ただし、借主が事前に内容を理解し、承諾していることが前提になります。申し込み書類に承諾の項目がある場合は、読み飛ばさずに内容を確認してください。わからない点があれば、署名の前に質問しておくのが安心です。
仲介手数料が無料や半額になる仕組み
「仲介手数料無料」「半額」と表示している不動産会社もあります。なぜこのような条件が成り立つのかというと、借主から受け取る報酬を減らしても、ほかの収入で補えるケースがあるためです。代表的な例は、貸主側から報酬を受け取る場合です。上限の範囲内で、貸主から賃料の1か月分程度の報酬を受け取れれば、借主の負担を抑えても営業が成り立ちます。また、貸主が入居者を早く決めたい物件では、不動産会社に対して広告料(いわゆるAD)が支払われることがあります。
この広告料が報酬の一部になる場合や、別の費用として扱われる場合があり、仕組みは会社によって異なります。借主から見ると、仲介手数料が無料でも、物件そのものの条件が悪くなるわけではありません。ただし、無料や半額の表示には注意したい点もあります。仲介手数料が安くても、ほかの項目が上乗せされていて、初期費用の総額は変わらないことがあるためです。たとえば、書類作成費、事務手数料、サポート費用などの名目で、別に費用がかかる場合があります。
比べるときは、仲介手数料だけでなく、見積書の合計金額で判断しましょう。
見積書で確認したいこと
初期費用の見積書は、項目の名前だけでは中身が分かりにくいことがあります。仲介手数料に関しては、次の点を確認しておくと安心です。
- 仲介手数料が賃料の何か月分で計算されているか
- 消費税が含まれた金額か、別に加算されるのか
- 賃料の計算に、管理費や共益費が含まれているか
- 仲介手数料のほかに、事務手数料や書類作成費などの名目の費用がないか
- 無料や半額の条件に、特定の保証会社や付帯サービスへの加入が含まれていないか
特に注意したいのが、条件つきの無料です。仲介手数料は無料でも、指定の消毒や、24時間サポートといったサービスへの加入が条件になっている場合があります。加入が任意か必須かによって、実質的な負担は変わります。見積書だけでなく、申し込み前の説明で、条件の有無を聞いておきましょう。
他の初期費用とあわせて考える
仲介手数料は、初期費用の一部です。敷金、礼金、前家賃、保証会社の費用、火災保険料、鍵の交換費用などを合計して、はじめて入居までに必要な金額が分かります。仲介手数料だけを減らしても、全体の差は数万円程度にとどまることもあります。初期費用の全体像は、別の記事でまとめています。見積書を受け取ったら、各項目の金額を、相場と見比べてみてください。
また、初期費用を抑えたいときには、家賃そのものや初期費用の交渉ができる場合があります。交渉の考え方や、応じてもらいやすい場面は、こちらの記事で解説しています。
保証会社の費用も、仲介手数料と同じく見積書に載る大きな項目です。費用の仕組みと、確認の仕方は次の記事をご覧ください。
エリアや駅を絞って物件を探すときは、条件ごとの物件をまとめたページが便利です。気になる駅や区が決まっていれば、そこから探してみてください。
契約前に聞いておきたい質問
仲介手数料について不安があるときは、申し込みの前に、次の質問を不動産会社に伝えてみてください。ていねいに答えてくれるかどうかも、その会社を選ぶ判断材料になります。
- 仲介手数料は、賃料の何か月分で、税込いくらになりますか
- 仲介手数料のほかに、不動産会社に払う費用はありますか
- 借主が1か月分を負担する場合の承諾は、どの書類で確認しますか
- 仲介手数料が無料や半額になる条件はありますか
- 契約が成立しなかった場合、費用は発生しませんか
Rent or Buy では、このサイトに載っているお部屋をすべて仲介手数料0円でご紹介しています。0円にできる仕組みと対象のお部屋は、次のページにまとめています。
よくある質問
仲介手数料は、いつ払いますか
契約が成立するときに、ほかの初期費用とあわせて支払うのが一般的です。振込の期限は、見積書や契約の案内に書かれています。入居日が決まっている場合は、期限に間に合うよう、金額と期日を早めに確認してください。
申し込みをしたあとにキャンセルすると、仲介手数料はかかりますか
仲介手数料は契約が成立したときの報酬なので、契約前にキャンセルした場合は、一般に発生しません。ただし、申し込みの時点で預かり金を受け取っている場合の返還の条件は、会社によって扱いが異なります。申し込みの前に、預かり金の有無と返還の条件を確認しておきましょう。
更新のときにも仲介手数料は必要ですか
契約の更新時に、仲介手数料の支払いが必要になるのは一般的ではありません。更新時にかかることが多いのは、更新料や更新事務手数料です。更新にかかる費用は、契約書に書かれているので、更新の時期が近づいたら確認してください。
仲介手数料の金額を交渉できますか
不動産会社によっては、仲介手数料の割引や、初期費用全体の調整に応じてもらえることがあります。ただし、必ず応じてもらえるものではありません。希望がある場合は、申し込みの前に、早めに相談してみてください。申し込み後や契約の直前に切り出すと、調整が難しくなることがあります。
まとめ
- 仲介手数料は、契約が成立したときに支払う報酬で、法律に上限がある
- 居住用の賃貸では、貸主と借主の合計が、賃料の1か月分+消費税まで
- 借主の負担は原則0.5か月分まで。承諾がある場合は1か月分まで
- 無料や半額は、貸主側の報酬などで成り立つ。ほかの名目の費用が増えていないか見る
- 見積書では、仲介手数料だけでなく合計金額で比べる
※本記事は一般的な情報をまとめたものです。仲介手数料の金額や条件は、不動産会社・物件・契約内容によって異なります。最終的な内容は、見積書や契約書、不動産会社の説明でご確認ください。


