新しい部屋が決まると、荷造りや引越し業者の手配に気を取られて、役所やライフラインの手続きを後回しにしがちです。ところが、引越しにともなう手続きには期限が決まっているものが多く、電気や水道、ガスは申し込みが遅れると入居した日から使えないこともあります。この記事では、名古屋へ引っ越すときに必要な手続きを、引越し前・引越し当日・引越し後の三つの時期に分けて整理します。
他の市町村から名古屋市に移る場合と、名古屋市内で別の区へ移る場合の違いもあわせて説明します。手続きの細かな条件は変わることがあるため、最終的には名古屋市や各事業者の案内で確かめてください。
前提:転入届・転居届は引越しから14日以内
住所が変わったときの届け出は、住民基本台帳法で期限が定められています。他の市町村から引っ越してきた場合は転入届(同法22条)、同じ市町村の中で住所が変わった場合は転居届(同法23条)を、新しい住所に住み始めた日から14日以内に出すことになっています。名古屋市は16の区に分かれた政令指定都市です。名古屋市の外から引っ越してくる場合は、前の住所の市区町村で転出の手続きをしてから、新しい住所の区役所で転入届を出します。
名古屋市内で別の区へ移る場合は、一般に転出届は不要で、新しい住所の区役所で転居届を出す扱いです。区によっては支所でも手続きできます。
- 名古屋市の外から転入:前住所で転出届 → 新住所の区役所で転入届
- 名古屋市内で別の区へ:新住所の区役所で転居届(転出届は一般に不要)
- 同じ区の中での引越し:区役所で転居届
マイナンバーカードを持っている方は、マイナポータルからオンラインで転出届を出し、転入先の窓口へ行く来庁予定を伝えられる仕組みもあります。その場合でも、転入届そのものは新しい住所の区役所の窓口で行う必要があります。マイナンバーカードの住所の書き換えも、転入届と同じ窓口で手続きします。
転入届に必要なもの(名古屋市)
名古屋市の区役所で転入届を出すときに必要なものは、次のとおりです。新しく住む区の区役所市民課か、支所の区民生活課に持って行きます。
- 転出証明書:名古屋市の外から引っ越す場合に、前の住所の市区町村で転出届を出したときに受け取るもの(名古屋市内で区が変わるだけなら不要)
- マイナンバーカード:持っている方。マイナンバーカードを使って転出届をした場合は、転出証明書の代わりにカードを持って行く。住所の書き換えでは暗証番号の入力が必要
- 本人確認書類:マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど
- 国民健康保険の保険証など:名古屋市内で住所が変わる方のみ
- 介護保険被保険者証:加入している方のみ
- 在留カードまたは特別永住者証明書:外国籍の方。引っ越す全員の分
- 委任状:家族以外の代理人が届け出る場合
届け出の期限は、新しい住所に住み始めた日から14日以内です。区役所の窓口は平日の日中に開いているのが基本ですが、名古屋市では区役所・支所の日曜窓口で転入や転出の手続きができる日もあります。実施日は限られているため、名古屋市の案内で確かめてから行きましょう。持ち物や受付の方法は変わることがあり、家族の構成や加入している保険によっても必要なものが変わります。
迷ったときは、名古屋市の問い合わせ窓口「名古屋おしえてダイヤル」(052-953-7584)や、新しく住む区の区役所に確かめると確実です。
引越し前にやっておく手続き
引越しの1〜2週間前までに済ませておきたい手続きは次のとおりです。今の住まいの解約は、契約で決められた予告期間があるため、新居が決まったらまず最初に確認してください。
- 今の住まいの解約の連絡(予告期間は契約書で確認する)
- 名古屋市の外から引っ越す場合は、今の市区町村で転出届を出す
- 電気・ガス・水道の使用停止と、新居での使用開始の申し込み
- インターネット回線の移転または新規申し込み
- 郵便の転居届(転送の申し込み)
- 粗大ごみの処分の予約
解約の予告期間は1か月前とされることが多いですが、2か月前などと定められている契約もあります。予告が遅れると、住んでいない期間の家賃を払うことになりかねません。住み替え全体の段取りについては、こちらの記事でまとめています。
インターネット回線は、工事が必要な場合に申し込みから開通まで日数がかかることがあります。物件に無料のインターネット設備があるかどうかで手続きが変わるため、契約前に確認しておくと、入居してから慌てずに済みます。
電気・水道・ガスの使用開始の申し込み
ライフラインの手続きは、引越し当日から生活できるかどうかに直結します。それぞれ申し込み先と、当日の対応が少しずつ違います。
- 電気:契約したい電力会社に使用開始を申し込む。立会いは不要なことが多く、ブレーカーを上げれば使える場合がある
- 水道:名古屋市内では名古屋市上下水道局に使用開始を申し込む。電話やインターネットで受け付けている
- ガス:契約するガス会社に開栓を申し込む。開栓には原則として立会いが必要
- インターネット:回線事業者やプロバイダに申し込む。工事の有無で開通日が変わる
特に注意したいのがガスです。安全確認のため、開栓には入居者の立会いが必要になるのが一般的で、引越しの多い3月や4月は希望の日時が埋まりやすくなります。入居日が決まったら、早めに開栓の予約を入れておきましょう。物件によっては都市ガスではなくプロパンガス(LPガス)のこともあり、その場合は管理会社が指定するガス会社に連絡します。電気は2016年の電力小売全面自由化以降、地域の大手電力会社以外とも契約できるようになりました。
都市ガスも2017年に小売が全面自由化されています。ただし、物件によっては一括受電などで電力会社を選べない場合もあるため、管理会社から渡される入居案内を先に確認してください。
引越し後14日以内に区役所で済ませる手続き
引越しが済んだら、区役所でまとめて手続きを行います。転入届や転居届と同じ日に済ませられるものが多いため、必要なものを一度にそろえて行くと効率的です。
- 転入届または転居届
- マイナンバーカードの住所の書き換え
- 国民健康保険・国民年金に加入している方の住所変更などの手続き
- 子育てに関する手当や医療費助成を受けている方の手続き
- 印鑑登録が必要な方の登録(市外から転入した場合は、前の市区町村の登録は使えなくなる)
持ち物は、前の「転入届に必要なもの」のとおりです。家族の分もまとめて届け出る場合や、代理人が手続きする場合は、必要なものが変わることがあります。区役所は平日の昼間に開いているのが基本なので、仕事を休みにくい方は、行く日を先に決めておくと手続きが漏れにくくなります。なお、子どもに関する手当には、転入から短い期限で申請しないと受け取れない月が出るものもあります。対象になる方は、転入届のときに窓口で合わせて確認しましょう。
そのほかの住所変更
役所の手続きのほかにも、住所を変えておくべきものはたくさんあります。漏れやすいものを挙げておきます。
- 運転免許証:愛知県では、警察署や運転免許試験場などで記載事項の変更を届け出る
- 車やバイク:自動車検査証(車検証)の住所変更や、駐車場の確保が必要になる
- 勤務先・学校への住所の届け出
- 銀行・証券口座、クレジットカード、携帯電話
- 各種保険(生命保険・自動車保険など)
- 通販サイトや各種サービスの登録住所
郵便の転居届を出しておくと、旧住所あての郵便物を1年間、新住所へ転送してもらえます。ただし、転送の期間が過ぎると届かなくなるため、転送されてきた郵便物を見ながら、差出人ごとに住所変更を進めていくと漏れを防げます。名古屋で車を持つ場合は、駐車場の確保と費用も考えておく必要があります。駐車場代の考え方や、車を持たずに暮らす判断の目安は、こちらの記事で詳しく説明しています。
名古屋市のごみの出し方も最初に確認する
引越し直後は段ボールや梱包材など、ごみが一度にたくさん出ます。名古屋市では、ごみと資源の分け方や収集日が地域ごとに決められているため、入居したらまず自分の住所の収集日を確認しておきましょう。
- 収集日と分け方は、名古屋市のウェブサイトや区役所で配られている案内で確認できる
- 集合住宅では、建物ごとにごみ置き場の使い方が決められていることが多い
- 大きな家具や家電は粗大ごみとして事前の申し込みが必要で、手数料がかかる
- エアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機などは家電リサイクル法の対象で、粗大ごみとしては出せない
ごみ置き場のルールは、管理会社から渡される入居のしおりや、掲示板に書かれていることが多いです。最初に確認しておけば、近隣とのトラブルを避けられます。まだ住むエリアを迷っている方は、区や駅ごとの特徴を比べながら候補を絞り込んでみてください。
名古屋市内で引っ越し先の区をまだ決めていないときは、区ごとのページで駅ごとの家賃の違いや掲載中の部屋を見比べられます。
よくある質問
名古屋市の転入届に必要なものは何ですか
名古屋市の外から引っ越す場合は、前の住所で受け取った転出証明書、本人確認書類(マイナンバーカード・運転免許証など)、持っている方はマイナンバーカードが基本です。マイナンバーカードを使って転出届をした場合は、転出証明書の代わりにカードを持って行きます。
転入届は土日にも出せますか
区役所の窓口は平日が基本です。名古屋市では、区役所・支所の日曜窓口で転入や転出の手続きができる日がありますが、実施日は限られています。行く前に名古屋市の案内で日にちを確かめてください。
転入届は引越し前に出せますか
転入届は、新しい住所に実際に住み始めてから出すものなので、引越し前には出せません。一方、名古屋市の外から引っ越す場合の転出届は、引越し前に前の住所の市区町村で出すことができます。転入届は住み始めてから14日以内に出しましょう。
名古屋市内で区が変わるだけでも手続きは必要ですか
必要です。名古屋市内で別の区へ引っ越す場合も、新しい住所の区役所で転居届を出します。市外への引越しとは違い、一般に転出届は不要です。マイナンバーカードの住所の書き換えや、国民健康保険などの手続きも、あわせて確認しておきましょう。
14日を過ぎてしまったらどうなりますか
住民基本台帳法では、正当な理由なく届け出をしなかった場合に過料の定めがあります。期限を過ぎてしまっても、気づいた時点でできるだけ早く区役所で手続きをしてください。届け出が遅れると、行政からの郵便物が届かないなど、生活上の不便も生じます。
電気・水道・ガスはいつまでに申し込めばいいですか
決まった期限はありませんが、入居日の1週間前までには申し込んでおくと安心です。特にガスは開栓の立会いが必要なため、引越しが集中する3月や4月は早めの予約がおすすめです。申し込みの方法は事業者ごとに違うため、入居案内やそれぞれのウェブサイトで確認してください。
まとめ
- 転入届・転居届は、新しい住所に住み始めてから14日以内に区役所で出す
- 名古屋市の外からは「転出届→転入届」、市内で区をまたぐ場合は「転居届」が基本
- 電気・水道・ガスは入居日前に申し込み、ガスの開栓は立会いの予約を早めに入れる
- マイナンバーカード・国民健康保険などは、転入届と同じ日に区役所でまとめて済ませる
- 郵便の転送は1年間。転送された郵便物を見ながら住所変更を進め、ごみの収集日も最初に確認する
※本記事は一般的な情報をまとめたものです。届け出に必要なものや受付の方法は変わることがあります。最終的な内容は、名古屋市・お住まいの区役所・各事業者の最新の案内でご確認ください。


